ホットメルトステッチ: 接着剤の経済的な使用方法

ホットメルトステッチにより接着剤を最大50 %節約できます。このブログでは、ホットメルトステッチの仕組み、注意点、どのような時に使用すると効果的であるのかをご紹介します

ホットメルトステッチをご利用になると:連続するビード状ではなく、ドット塗布を施したダンボール


ホットメルトステッチやホットメルトドットは、特殊な接着剤塗布モードです。ここでは、連続的(A)または断続的(B)なビード塗布を、より短いビードまたはドットに分割しています。そのメリットは、接着剤を最大で50%節約できることにあります。原料価格が高騰する中、ホットメルトステッチにより、工業用接着剤塗布のランニングコストを一定に保つあるいは削減することができます。 

連続した接着剤ビード、その下に接着剤ドットが表示されています。断続的な接着剤ビード、その下に接着剤ドットが表示されています。 ホットメルトステッチにより、メルト接着剤の消費量を削減することができます。 

ホットメルトステッチはどのような場合に有効ですか?

接着剤の塗布量を最大50%削減できるのは魅力的に聞こえます。しかし、ホットメルトステッチに切り替えるとなると、かかる費用も念頭に置かなくてはなりません。セットアップ次第で導入コストとリターンが異なってきます。 

このような投資判断が待っているかもしれません:  

  • 現在、機械のPLCコントローラで制御しているのであれば、プログラミングにコストがかかります。PLCプログラムでステッチができない場合、ホットメルトタンクに内蔵されたステッチ機能を有効にすることができます。ただし、ホットメルトタンクの制御ではコントロールボードを追加する必要があります。この場合、PLCは塗布ヘッドを直接制御するのではなく、拡張ボードを通して制御するようになります。すでにホットメルトタンクの制御システムで塗布ヘッドを制御している場合は、ステッチング機能が標準装備されているため、費用がかかりません。

  • ホットメルトステッチは、塗布ヘッドに高い性能を求めます。このため、使用中の塗布ヘッドがステッチに適しているかどうかご確認ください。ステッチ塗布を行うと、塗布ヘッドに対する運転サイクル数が増えます。そのため、特に塗布ヘッドの使用出来る期間が大幅に短くなります。モデルによって異なりますが、約2億回のスイッチ切替サイクルを想定して設計されています。したがって、機械の速度、長さ、ビードの数によっては、ホットメルトステッチ用に電動の塗布ヘッドに変更することが望ましい場合があります。というのも、5億回または10億回の運転サイクルの使用期間を持つ電動塗布ヘッドは、ホットメルトステッチにおいて中長期的なコスト削減を実現する理想的な条件を備えているからです。 

ホットメルトステッチのダブル仕様の電動噴霧ヘッドSpeedStar Compact。 電動塗布ヘッドは、ホットメルトステッチに最適な条件を提供します。 

  • 場合によっては、製品接着の必要な強度を損なわずに接着剤の量をどれだけ減らせるか、接着剤メーカーに問い合わせてみるのもよいでしょう。接着力の高い接着剤に変更することで、さらに効果が期待できるかもしれませんので、ご相談ください。  

ホットメルトステッチで得をするのかどうか計算してみましょう

机上でのコスト計算。簡単な情報と電卓で計算できます。 ホットメルトステッチによる接着剤の節約を正確に計算できます。  

ホットメルトステッチによるメルト接着剤の節約の計算は、しばしば異なる結果になります。影響を与える要因としては以下が挙げられます。

  • 使用するメルト接着剤の種類
  • 生産速度
  • 包装資材の品質
  • 包装の大きさ・重さ
  • 使用する接着剤塗布システム
  • 塗布ヘッドの塗布対象に対する距離  

そうは言っても、以下の計算例を使って、節約の可能性について推論することができます。  

接着剤削減の計算例  

生産能力 毎分40カートン
生産時間 12時間
カートン/日 28’800
カートンサイズ 400 x 300 x 250 mm
ノズル直径 0.35 mm
塗布の方法 連続塗布 スティッチ塗布
カートンあたりの接着剤 3.07 g 1.69 g
カートンあたりの削減量 - 1.38 g
1日あたりの削減量 - 39.79 kg
1週間(5日間)の削減量kg - 198.94 kg
年間削減量(250日) - 9946.80 kg
コスト削減額 (ユーロ、1 kg = 7.00ユーロ) - € 69'628 


両方の項目、つまり計算される節約の可能性と投資額を比較すると、ホットメルトステッチで得をするのかどうかがわかります。   

ホットメルトステッチはリサイクル性を低下させますか?

基本的に低下させませんが答えです。ただし、ダンボールや紙へのメルト接着剤の塗布は、リサイクル性を損なわないように以下の基準を満たす必要があります。

  • 熱可塑性接着剤の層厚=120μm以上
  • 反応性接着剤の層厚=60μm以上
  • 軟化点(リング&ボール)=68 ℃以上
  • 両方向の水平寸法=1.6×1.6mm以上
     

段ボールが緩い状態で重なり合っています。ダンボールや紙のリサイクル性を高めるには、接着剤の塗布が一定の基準を満たしている必要があります。 

リサイクル性の数値は、紙のバリューチェーンに沿った業界団体で構成される 欧州紙リサイクル協議会(EPRC)  が定めたものです。このイニシアティブは、あらゆる施策を通じて紙・ダンボール製品のリサイクル向上を目指すものです。 

イニシアティブの観点の一つは、リパルプの際の接着剤の分離性について取り扱っています。つまり、古紙繊維を分離・洗浄し、異物と分離するリサイクルにおける工程です。回収された繊維は、新しい紙のもととなるパルプの原料になります。リパルプの際の接着剤の剥離が良好であればそれだけ、マシンの再処理はスムーズに行われ、新たに回収される古紙の品質も向上します。  

ホットメルトステッチの場合で以下の3点を考慮すれば、紙も段ボールもはリサイクル可能な状態を保てます

1. ステッチングモードにおけるビードの長さを1.6mm以上に設定します。ロバテックの塗布コントローラまたはそのプログラムコードのいずれかで行なってください。

ホットメルトステッチモード用のロバテックのユーザーインターフェイス ステッチモードではビードの長さを自由に選択することができます。 

2. 使用する接着剤の軟化点(リング&ボール)はデータシートでご確認ください。68℃以下であれば、他の接着剤に変更する必要があります

3. ステッチングモードを設定する際に、ロバテックのスペシャリストにビードの長さと厚みを確認してもらい、必要であれば必要最低限に上方修正してください。


要約

ホットメルトステッチでは、少ない接着剤で同じ品質の接着性を得ることができます。高寿命の電動塗布ヘッドに切り替えることは必須ではありませんが、エネルギー、材料、圧縮空気の消費量を削減できるため有益です。リサイクル性という基準も考慮すれば、結果的に生産と環境の双方に対して利益になる状況になります。

ホットメルトステッチについて詳しい情報をご希望ですか?ホットメルトステッチがお客様の用途に適しているかどうかご確認されたいですか?ぜひお問い合わせください。貴重な資源を節約しコストを削減するための一歩一歩が、大きな結果につながります。

 

 

コメント

0 コメント

この記事を共有する